food creation

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ゲリラレストラン Lost Tongues

9,10,11 Octber 2010
Venue : Laforet Museum Harajuku, Tokyo Japan
Photo : Tukasa Nakagawa
Collaborator : Lapnet, MORI Building

東京 原宿に開店したドラマチックなゲリラレストラン

2010年10月。東京、ラフォーレ原宿のLaforet Museumで行われた同タイトルの諏訪綾子の作品展覧会。その会場内に設えられた40席の「感覚であじわう 感情のテイスト」をフルコースをあじわうゲリラレストランが3日間オープンした。

ゲリラレストランの招待状を手にし、ドレスアップしたゲスト達は、到着するとウェイティングバーで、国籍不明なバーテンダーがエモーショナルエッセンスをブレンドした飲み物を楽しみながら待つ。ほどなくして、案内されたのはS席フルコース招待状に似つかわしくない薄暗い路地裏。そこには、見たことのない食材の端切れが見え隠れするゴミバケツ、そしてレストランの噂が書かれた張り紙が散乱している。

いよいよ、ゲスト達はレストランへと案内されるが、ここはどう見ても裏口のようだ。怪しげな、白い装束の調理人達が調理道具でリズムを刻み奏でながら料理をする暗い厨房。その間、ゲスト達は、厨房の壁に無数に張り巡らされているレシピや料理のアイディア スケッチを観察しながら、一体いつになったらテーブルに座れるのか...と不安に思い、所在なく待つしかない。

すると突然厨房を隔てる布の向こう側から、声がした。
「それでは皆さま、拍手でお迎えください!」

ゲリラレストランの支配人を名乗る女性の声が、会場に響き渡ると同時に厨房を隔てていた赤い緞帳が開く。すると、目の前には、客席を取り囲む大勢の観客たちがこちらを驚いたように見つめている。

立ち見の観客の、大きな拍手で迎えられ、S席フルコース招待状を手にしたゲストたちは戸惑いながらも
ゆっくりとフロアに降りて席に自分の席へと座る。「これから先一体どんなコースが待っているのか.....」
不安と胸の高鳴りを感じながら、待っているとレストランの支配人がこう話す。

「それでは感情のテイスト一品目です.... 恥ずかしさと喜びがゆっくりと快感に変わるテイスト。」

着席したゲストはこれから9品の「人間の感情を表現した作品」をコースであじわうことになる。
しかし同時に、テーブルを取り囲む立ち見の観客から、作品をあじわう様子をつぶさに観察されることにもなる。「出演者」としての役割も担うことになった着席ゲストは、視線を感じつつも、全神経を研ぎ澄ませて五感であじわう。そして立ち見の観客は、もはやあじわいの一部となったゲストの表情や反応から、作品のあじわいや風味を「想像であじわって」共に体験する。

「あじわう者とあじわわれる者」の主客関係を体験することは通常の食事ではあり得ない。だからゲリラレストランでは、普段私たちが毎日習慣的に、無意識に行ってる「食事」という行為に対して、改めて新鮮に考え、向き合わざるを得ない。